守破守破守破離

web系エンジニアの大学院生活

働きながら大学院生になることについて【立志編】

湖畔の大学院に通い、データサイエンス修士を目指すことにした。立志について書き留めておく。

何故再び学ぶのか

2021年ごろ私は30代を目前に控えており、当時の仕事内容、すなわちソフトウェアエンジニアに関する事柄は日常的に勉強していた。とはいえ節目を迎えるに当たって漠然とした不安があった。人生100年時代と呼ばれる昨今、今の仕事を続けていく事は正しいことだろうか。何か今のうちに投資できる事はないだろうか。そのように考えていた。

3つの未来

将来の道筋をふんわりと考えた時に、3つの選択肢があった。

  • マネージャーとなり組織や案件のコントロールに励んでいくこと。
  • 今のエンジニアとしてのスキルを高め続け、スペシャリストとして歩んでいくこと。
  • 新たな専門領域を身につけ、複数の専門知識を持つジェネラリストになること。

これらの選択肢のうち、マネージャーになることは考えになかった。個の時代と呼ばれる現代において、複数のスキルの研磨に重点を置くことが将来的に理に適っており、他者を率いて仕事を進めることは自分のキャラに適していないと考えたからである。

スペシャリストとして歩んで行くことは魅力のある方針だった。身の回りには特定のスキルを活かして独立したり、起業する先輩がいる。純粋に彼らのことを尊敬しているし、生き方としてカッコ良いと思う。とは言えそこまで自分は突き抜けることが出来るか自信がなかった。元来様々なことに手を出すことが好きな自分にとって将来的に窮屈さを感じてしまうのではないかと考えた。

誰の発言か忘れたが100万人に1人のスキルを身につけると考えた時に、1つのスキルを突き詰める事と、100人に1人のスキルを3つ持つことは同義である。突き詰める事についてやや消極的とも言えるが、様々なことに手を出していきたいと考えている自分としてはこれが最も理に適った選択肢であるように思えた。

従って複数の専門分野を修めていくという大枠の方針ができた。当時は2社目で(書いてる今もだが)、1社目ではWEB制作関連のエンジニアリングスキルをそれなりに積んでおり、充分に1/100だろう。そして2社目のシステム開発においても1/40くらいにはなっただろう。次の1/100に向けて投資するのは悪く無いタイミングだった。この決断がおよそ2021年の夏頃の話だ。

何故データサイエンスか

VUCAと呼ばれる将来が不明確な世界が到来したと言われている。この時代にどうやって計画を立てて実行に移していくか。起こり得る事柄をどのように推測し、自らの行動を最大化するか。それらを考えた時にデータから知見を見出すスキルを獲得したかった。そもそも統計学という一部の集合から全体を推定したり、過去の情報から未来を推定するようなことが自らの嗜好に近いのもある。

そして何よりもAIや機械学習という先進領域に身を浸すことは刺激に満ち溢れている気がする。方向性を決めたのは21年の秋頃だったと思う。

何故大学院か

学ぶ手段について選択肢は複数あった。

  • スクールに通う
  • 独学で学ぶ
  • 大学や大学院に通う

まずスクールに通うことについて。自分はエンジニアとして働いており、複数のスクール出身者と交友関係がある。彼らは開発は出来るが、結果に至る道筋は働きながら学んでいる。従って適切なメンターが必要で、そのようなメンターは整った環境にしかいない。つまり環境に依存する。自身で将来を切り拓きたいと考えている自分にとって、この状態は望むところではなかった。そして何よりも学費が高い。

独学についてはひとつの大きな課題がある。これは実務に活かすスキルを身につけることが難しいということで、何故なら教本というのは高度に抽象化されていることが一般的で、時間をかければいつかは満足するレベルに到達出来るだろうが、社会の変化がこれを待ってくれるかは疑問である。また学んだ知識の活用について状況判断がつかない点も実際に困っていた。知識というのは特定のケースにおいて正しいということが普通で、活かせるケースを含めて学ぶことで最も効果を発揮できる。これらを学ぶには結局のところ経験のある人間から学ぶことが最も手っ取り早い。そして孤独な終わりなき戦いは長続きしない。

最後に大学や大学院といった学術機関については、大きなメリットとして体系的な学習が可能であり、かつ実務への展開について相談できる点が大きい。海に浮かんだ氷山のように例えると目に見える部分を学ぶのがスクールや独学ならば、目に見えないところを学ぶのがこの機関ではないだろうか。あわよくば諺にある一角も学ぶことが出来る。将来的に新たな知識を身につける時に、知識を得るための知識を身につけることが出来る。ここはTwitterで有名なシロヤマさんのブログを読んだ内容を引用した。また志を同じとする人たちに巡り会い、切磋琢磨することも期待している。

大学という選択肢ももちろんあったが、研究したいことがある程度明確であったので大学院にすることにした。また友人に相談した時に大学の授業は教科書を学ぶことだが、大学院で学ぶ事は教科書を作る事だとアドバイスを受け、逆にやる気が出たように思える。これはお前には向いていないと言われた可能性も僅かにあるが、怖くて聞いていない。

最後に少しばかり打算的だが、10年先20年先を見越した時、学位を持っている事は世界に通じる証明になると考えた。将来的な選択肢を広げる事は十分な志願理由だろう。

入学直前の不安

実は入学直前の今でもこの選択が正しかったのか不安を感じている。猪的な前進は好みではないが、選択の結果がわかるのは随分先になるだろうし、自分の選択を信じて進むしか無い。幸いなことに自分は職場に在籍しながら通学するので、アウトプットできる環境が近くにある。試行錯誤を前提として、今はこの選択が正しかったと信じて努力していく。動揺しているので信じていると2回書いた。

最後にこのブログまで同僚や上司がたどり着くか不明だが、入学書類の作成から勤怠の調整まで手助けしてくださり本当に感謝している。ありがとうございます。正直働きながら大学院に通うということが叶うとは思っていなかったので、金銭的にも社会的にも支援があることが大変心強い。誠心誠意励んでいく所存。

あぁー!不安!!