守破守破守破離

web系エンジニアの大学院生活

社会人学生がDS研究科M1の春学期を終えて

言葉通りに春学期が終了して夏季休暇に入っただけで暗喩ではない。
ここでは社会人である筆者が入学した国立大DS研究科の授業や研究及び学生生活について記載し、後輩たちの役に立つ情報、あるいは秋学期と夏期休暇に向けた自身のための情報をまとめていきたい。

なお本ブログでは頑なに大学名を明かしていないが「湖畔の」「国立の」「データサイエンス研究科を持つ」大学は1箇所しかないと思われる。そのため本ブログに辿り着いて実際に入学する人はそれなりに情報リテラシーが高い人だろう。知らんけど。

カリキュラム・履修について

1週間に1科目15コマ行われる。だいたい週4日から5日。リモートと対面どちらでも良いが、教授によってはリモート授業に不慣れな方もいらっしゃるので見極めが大事。グループワークのある授業は絶対に対面が良い。逆にリモートのみの講義もある。

いくつかの講義は理論と実践論がセットになっており、実践論の履修条件として理論の履修がある。座学の場合は外部から有識者を招待して講演頂いたり、グループワークなど講義の形式としては様々だが、数式など理論的な内容が多い。実践論は理論の実践を行って各生徒が発表する形式がほとんど。

1科目の講義を複数名の教授が分担して行うため、課題も先生ごとに出題される。実践論の発表課題は翌週までに完了する必要があるので、週あたり3から6の課題が出る。したがって土日や平日夜は基本潰れる。提出期限が結構先に設定されるものの、油断していると課題が溜まりまくって死ぬ。

講義内容はかなりハードで、予習をしない場合は呪文のような講義を15コマ(22.5H)受けるハメになる。先生によっては講義直前に資料が掲載される場合があり、この時は着いていくのが大変である。ただしシラバスで参考書が紹介されているケースがあり、大体の場合はこれらを読んでいればなんとかなるのではないかと思う。秋学期はこれを試したい。講義資料が上がっていないからと言って無予習で講義に臨んだことは春学期の大きな失敗の1つである。

研究とか

大学院としては珍しく7月末までに決める方式で、入学時はあまり固まってない学生も少なからずいる。ただしこれは社会人入学者への配慮と思われ、内部進学や他大学出身者は普通に研究活動をスタートしている模様。自分は春学期はほとんど課題に追われていて、修論の具体的テーマは6月くらいからサーベイを始めた。

計画を固めるにあたって興味のある教授とアポを取って計画を固めていくフェーズが発生するが、これは授業以外で行うので講義をたくさん履修すると、研究活動を行う時間を確保できず普通に大変。

入学前の準備とか

入学前の事前学習としてe-learning 教材を受講できる。基本はこれを受けておけばなんとかなるが、JDLAのG検定や統計検定2級の取得は講義の理解を深める助けになるのでオススメ。また講義で当たり前のように英語論文を読む機会があるので、TOEICは700くらいあった方が良いと思われる。周りに話を効いてみると800点超えは普通で、900点超える人もそれなりにいる。筆者は600しかないため苦しんでいる。これから伸ばしていきたい。ちなみに社会人入学の場合は上記の資格試験は入学要件に含まれていないが、講義を理解する観点で取った方が良い。

入学すると高性能GPUを搭載したサーバー環境へのアクセス権を貰えたり、Google colabなどを活用することが多いのでパソコンは高スペックである必要性は低いように思える。とはいえ大容量データやゴリゴリの深層学習を行うケースもあるので一概には言えない。筆者は性能は高くないがGPUを搭載したノートpcに入学後に交換した。

数学からは一切逃れられない。わからなくても課題や分析を行うことはできるが、研究を進めるためのモデル選択やモデル構築をスキルとして学ぶつもりなら必須であると言える。数学が出来ないなら機械学習ブラックボックスとして扱うハメになる。またドメインごとにモデルをチューニングするケースは多いと見られ、研究を進めるなら結局必要。私は高校レベルの微積、行列は一通り復習して入学したがギリギリ足りていない印象。大学1,2年レベルの解析と線形代数は必要な気がする。これも数検の資格を利用して学習を進めていきたい。

社会人に関するあれこれ

社会人生活と両立している人はそもそも学校に来ないので詳細はわからないが、彦根にM1期間に限って移り住んでいるケースが多いように思える。雇用形態は企業によって異なるが駐在や派遣になるらしい。ただし関東や地方からリモートで授業に参加している人も数名いる。個人的にはあの課題量で両立を図るのは長期履修制度を活用しないと不可能ではないかと思う。

ちなみに入学後の講義関連で社会人だからと言って課題が甘くなったり、特別扱いを受けることはほぼない。教授によっては提出期限を交渉出来るらしいが、活用している生徒がいるかはわからない。基本的にはあくまでも学生として公平に扱われている。

環境について

内部進学や学部から進学した学生は基本的に皆優秀。会話するだけで地頭の良さが伺える。また社会人入学者も多様なバックグラウンドを持つため会話が面白い。社会人経験者が退職して一般入学するケースもある。皆がお互いにリスペクトし合いながら励んでいる良い環境だと思う。

大学周辺に飯処がまるでない。そして学食は狭い。従って昼ごはん難民になりやすい。自分は駅前のコンビニなどで買ってから通学している。飲み会をするのも結構大変で、20名を超えると一気に選択肢が限られる。春学期お疲れ様飲み会を企画したが10店舗くらい電話した。

虫が多い。例の顔の高さを群れでブンブン飛び回る虫が大量に発生する。城堀の側道などは悲惨である。マスクが必須。噂によると地域のドラッグストアには大量の殺虫剤が売られているらしい。

友人の喫煙者が嘆いていたが大学構内、近辺には喫煙所がない。大学構内の喫煙所設置を国が禁じたこと、県が喫煙所撤去に乗り気なことが原因と見られる。

諸々の感想

講義はどれも面白くやりがいがある。書籍にも載っていない先端技術を論文ベースで講義いただけることもあるので、書籍による独学では到底辿り着けなかった領域に踏み込んでいる感慨がある。

実践系の講義では発表に対してフィードバックを頂けるので理解の助けになる。ただし時間が足りなくて内容が不足した場合は躊躇なく突っ込まれる厳しさも混在している。学舎に来たと言う感じで身が引き締まる思い。

ビジネスマンから教授になった先生、あるいはビジネスしながら教授をしている先生が数名在籍しており、先端技術をビジネスに落とし込む観点で面白い話を講義中に聞くことが出来る。かなり楽しい。

夏休みと秋学期に向けて

入学前時点のの予定ではIPAのDB検定と、JDLAのE検定を学ぶ予定であったが、いずれにおいても大学院卒業のインパクトの方が強そうなので、前者は無期限保留、後者は中止とした。

英語はやはり必須なのでTOEICを進めていく。今600点前後なので、冬には700を超えたい。卒業までに800を超えるのが目標。

数学は解析と線形代数を進めたいが、DSの関連分野にひとまず絞って進めていきたい。せっかくなので「データサイエンス数学ストラテジスト上級」資格を取ろうと考えている。

実装の観点で言うとkaggle やsignate を利用して実装力を磨いていきたい心持ちである。加えてRによる分析がかなり有用であることに気づいたので夏休みに一通り慣れたい。

研究に関連する先行研究の実装再現を行っていく。自身のテーマはニューラルネットワークを使った推薦システムなので、特にネットワークの構築周りを実装する予定。最後に書いたけどこれが最も重要度が高い。

不満とか

バスの本数少なく雨天時は乗れないことがある。余裕を持った通学が必要。

IEEEACMの論文に機関ログイン出来ない。私の場合はがっつり必要になるので、ACMは学生会員で入会した。IEEEは様子見中。

最後に

相当楽しい。秋学期が待ち遠しい。